徒然乃記

愛猫の事、日常の些細な風景、そして仕事(建築)の事等を徒然に綴っていきたいと思います。

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Bio 森の家

建て主と何回も打ち合わせを重ねた後に、所長が提案する基本プランは、大概、予算よりもオーバーしている。何故なら皆こだわるから、どうしてもプランが要望優先になる。だから予算と要望との間で葛藤が始まる。思い切りの良い建て主もいるけど、そうじゃない場合も少なくない。
「ご夫婦、ご家族にとってこれがベストです」
と所長が太鼓判を押したプランだ。
「どこも削りたくない、出来ればこのまま建てたい」
と云う建て主の意見は、設計者冥利につきる。だけど現実を考えると、なかなかねえ・・・。
何処をどう削って良いか分からない建て主もいるし、無理をする建て主も出てくる。

「皆さん、家ばかりに費用を割くわけにはいかないでしょう。建て主を悩まさないためにも、もう少し予算重視のプランを提示すれば良いじゃない」
って私が言うと
「建て主は期待して事務所を訪ねて来る訳だから、その期待に応えなければならない。ベストプランを提示する義務がある。それが設計者としての勤めでしょう」
と言っていた。それほどまでにも建築に対しては頑固な人だった。
そう以前なら・・・。

その所長が、小池創作所の小池さんが提案しているスタンダート住宅(Bio 森の家)に取り組んでいる。スタンダート住宅とは、設計者の感性を生かしながらも、設計に制約を設けるというもの。家のクウォリティーを保ちながら、予算を抑えることが課題だ。年とともに幾分人間が練れてきたのだろうか。
まあ、ここ数年、家を持ちたいと希望する世代が若くなっている。家賃を払うよりも、自分達にとって良い家に住みたいと考える。だけどあまり建築資金はない。そういう世代の需要に応えたいのだろう。

また、耐震偽造問題が発覚してから、建築基準が厳しく見直されている。今後は住宅においても構造計算が必要になるだろうと云われ、住宅の性能を重視する傾向がある。心地良さや質感等、五感に働きかけるような部分は置き去りにされていくようだ。それって、住まい手にとって良いことなのかなあ?そんな危惧があるのかもしれない。

それに、あのフランク・ロイド・ライトだって、一般的な家族のために、ユーソニアンハウスと名づけられた、手ごろな価格で魅力的な小住宅郡を設計している。

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人生いろいろ!

時々想うことがある。所長の人生って、何か大きな力によって、建築へと導かれてきたのではないかって・・・。

高校受験の時、中学で生徒会長をしていたこともあって、担任の先生からは進学校の普通科を薦められたようなんだけど、浜工(浜松工業高校)の建築科に進学する。当時は特に建築への想いがあった訳ではないみたいだ。本人は絵を描いたりすることが好きだったので、デザイン科に進みたかったようなんだけど、「デザインでは飯が食えない」という周囲の意見もあり、建築科へと進んだ。兎に角、手に職を付けたいと希望しての進学だった。

端午の節句が近づき、空が鯉のぼりで賑やかになる頃、
「子供の頃、鯉のぼりも五月人形もなかったなあ。まあ、社宅に住んでいて、周りもそうだったから、それが普通だと思っていたんだけど・・・。そういえば姉貴には雛人形があったんだよなあ」
って、所長は眩しそうに空を見上げる。たぶんその頃から親に負担をかけてはいけないと思っていたのだろう。そんな彼は自慢の息子。未だに母(義母)は、所長が高校の入学式で新入生を代表してスピーチしたことを嬉しそうに話す。

就職の時にも、どんでん返しが待っていた。早々と地元の有力な設計事務所に就職が内定していたにもかかわらず、直前でドタキャンされ、慌てた学校側から紹介されたのがM住宅だった。その会社で出会ったのが、小池創作所の所長をしている小池さん。だから所長と小池さんとは30年近い付き合いになる。小池さんは独特の嗅覚で、時代を読み取り、建築をリードしていた。そんな小池さんが企画して、東京芸術大学の奥村先生に建売住宅の設計を依頼した。その建築に触れた時の衝撃は今でも忘れられないという。「“目から鱗が落ちる”とはまさにあの時のようなことを言うんだろうなあ」と話していた。建築に魅せられ、建築を生涯の仕事にしようと決意した時でもあった。

もし高校の普通科に進んでいたら、もし内定していた設計事務所に就職していたら、今の所長は居なかっただろう。器用な人だから、また別の道を歩んでいたかもしれない。

ちなみに余談だが結婚式では、新郎自ら着流し姿で、島倉千代子の人生いろいろを熱唱した。

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れんれんゼミ!

 先月、大阪で開催されたれんれんゼミは、180人を超える参加者で大いに盛り上がった。
このれんれんゼミでは所長も発表者に名を連ねていて、前日まで所長及びスタッフが頑張って準備していたので、当日は体調が万全という訳ではなかったけど、私も大阪に向かった。
講演は12時30分から始まったが、所長の順番が遅かったし、きっと私も緊張していたのか、所長の講演(発表)が終わってホッとしたら、なんだか気分が悪くなってきた。野池さんの発表が始まっていたから、中座するのも失礼だと思って、ギリギリまで我慢していたんだけど、限界を感じ途中で席を立った。

最寄りの駅まで歩いて地下鉄に乗り、新大阪駅まで行くのはちょっとしんどい。タクシーも見当たらない。次の新幹線に乗りたいと思ったが、時計は17時30分を指していた。しばらく建築交流館の前で途方に暮れていると、幸いにもタクシーが止まった。
「5時50分までに新大阪駅まで行けますか?」と尋ねたら、
「新御堂に乗れれば、間に合うかもしれませんが・・・」と微妙だった。
こだま号にはグリーン車回数券というのがあって、普通車の料金に1000円程プラスするとグリーン車に乗ることができる。座席がゆったりしているので疲れ方がちがう。弱った体にはとてもありがたい。だけどネックは本数が少なくて1時間に1本しかないこと。次の列車を逃すと1時間後だ。

「今日、建築家の人達の講演があったんです。しばらく体調を崩していたので不安だったけど、頑張って来てみたんです。だけど時間が長かったのかなあ、気分が悪くなってしまって・・・。」
「それはたいへんでしたねぇ。一体どんな講演だったんですか」
「そうですねぇ、掻い摘んで言うと、これからの家造りでしょうか。」
車窓から眺める大阪はやっぱり大都会。間に合わなくても仕様がないと半分諦めた。

「どちらからいらしたんですか」
「浜松です」
「浜松、良いですねぇ」
「そうですか?」
「別に浜松でなくてもいいんです。何処かに行ってゆっくりしたいですわ。雑駁とした大阪でタクシーの運転をしていますとねぇ、時々そう思うんです。この前、田舎に帰ったんですわ。母の3回忌で・・・。な~んか懐かしくて、小学校に通った道をゆっくり歩いてみたんです。やっぱり良いですねぇ。」
「田舎に帰らないんですか」
「女房が大阪の女なんですわ。追い出されたら帰りますけど・・・。」と笑っていた。
人はそれぞれ、いろんなものを背負って、しがらみの中で生きているんだ。

「新御堂に乗れましたから、これでもう大丈夫です」
車は淀川の流れの上を走っていた。話をしていて気が紛れたのか、気分も少し楽になっていた。
人の優しさが身に沁みた。黄色いタクシーのOさん、ありがとう。

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オープンハウス!

 5月10日~11日にかけて、『山東庵』でオープンハウスが開催されました。
地道をモットーとする村松設計事務所では、オープンハウスといえば普段はホームページ上で案内するだけなんだけど、今回は施工を担当した水建築の棟梁、水さんが新聞折込用のチラシを小池創作所に依頼してくれたので、なんと2日間で114組200人以上の方々が見学に来てくれました。新聞折込の威力って本当に凄い。

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想像を超える忙しさで、人混みに酔ってしまい、時々ボーとしていたんだけど、嬉しいことに蜆塚の家のKさんご夫妻や内野台の家のKさんご夫妻、楽間の家のKさんご家族等、懐かしい人達がわざわざ訪ねてきてくれました。
余談ですが、私は視力が弱いくせに普段は眼鏡をかけないので、失礼をしてしまうことがあります。きっとご挨拶できなかった方もいらしたのではないかと思います。この場を借りてお詫びします。m(__)m

『山東庵』は、建て主であるOご夫妻が、何となく地元の産業展示場で行なわれていた住まい博に立ち寄った折、そこに展示されていた『遠江・奏庵』(自邸)のパネルにとても共感したということで事務所に連絡をくれました。軒が深く、平屋のように見えるけど実は2階建てである点や、自然素材を使い、室内空間が一体となった奏庵がご夫婦の理想ということでした。だから奏庵によく似ています。

オープンハウス2日目に、リビングに置いてあるカッシーナのチェアーに座り、庭を見つめながら空間を感じていたら、「どこのおばさんかと思ったらRieちゃんじゃな~い。」と大きな声を発しながら入ってきたのは、小池創作所の小池さんでした。相変わらず口が悪い。まだ私がうら若き乙女の頃(今でも気持ちは充分若いけど)、「Rieちゃんって、産毛が濃いねぇ。髭みたいだよ。」と言われ、いたく傷ついたことがありました。まったく、いつまでたってもデリカシーがないんだから・・・。もう慣れたけどね。

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小池さんは相当お疲れのようで、本を読むフリをしながら寝ていました。

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スタンダードハウス!

奏庵(自邸)の見学に訪れる人達の年齢層は、20代から70代と幅広い。だけど見学者のお話を聞いていると共通点は意外と多い。もちろん、家というものに対するこだわりは相当強い。そしてそれ故、設計は設計事務所に、施工は建築会社(工務店)に頼みたいようだ。
こだわる建て主の、そのこだわりは細部(たとえばスイッチプレートの素材)にまで及んだりする。予算に余裕がある人達はそういう家造りを楽しめるけど、若い世代は(2世帯住宅ならまだしも、単独世帯となると)、こだわりたいけど予算的に厳しかったりする。こだわりが強ければ強いほど、予算と要望との間で葛藤も強い。

 昨年春から、所長と入政建築の新野さん、そしてMOON設計の村田さんとの間で、住宅の標準化についての話し合い(勉強会)を持つようになった。住宅の標準化とは、設計者の感性に係わる部分、家のプロポーションや空間を構築するうえで最も重要な家の寸法、素材感等にある基準(ルール)を設けるというもので、家のクオリティーを保ちながら、予算を抑えたスタンダードプランを検討している。そのための課題は、またまだ多いようです。

 今月の23日から24日にかけて、大阪・立売堀 建設交流館で、(協)もくよう連と町の工務店ネットが主催、ヤマトタテルの会の共催で、「れんれんゼミ」が開催されます。テーマは、工務店がつくる家 ----スタンダード住宅の可能性を探る! というもの。所長も「工務店が持つ手技を駆使してつくる、Bio森の家」について発表します。今、事務所はその準備で猫の手も借りたい状況。(ベルは何の役にも立たないけど・・・。)一段落したら慰労会をしたいものです。
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メールも溜まってしまい、なかなか返信できません。この場を借りてお詫びします。

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